久しぶりに花のお手入れをした。
いつも適当にお水をあげているだけで
たくましく育ってくれていた。
ところが最近ちらほらと茶色い葉っぱをつけて
「お~ら、枯れちゃうぞぉ~」と私を脅しにかかってきた。

しかたないので、枯葉をとりのぞき、
肥料を足して、お水をたんとあげた。
お手入れをし始めると1時間はかるくすぎていく。
最後の最後にお水をじゃーっとかけてあげると、
根っこや葉っぱがお水を吸収していく静かな響きが、
ジジジジ・・チチチチチ・・・ときこえた。
すごいなぁ、水を吸収する音なんて、こんなふうに
耳を済ませているとたくましく、やさしく響くもんなんだ。

よく、花を見ると気持ちが和むというが、
あれは本当は逆で、
気持ちが和んでいるから花を見る気になるのだと思うのだ。
すさんだ気持ちではいくら花を見たって、
それはただの「花」という名の物体にすぎず、
そこらのボールペンやバケツと同化して
まったく心に入ってこないものだ。

名も知らぬ花を育てております。